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妻側の姓は変わり者?引かれた時に効く返し方

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休憩時間の雑談で、自分から切り出したわけでもないのに、ふいに変わり者を見るような目を向けられた。おめでとうでもなく、へえそうなんだでもなく、なんで妻側の姓なの、と理由を求められる。自分の家族の形が、その場で一瞬、説明を要する何かにされてしまう。あれは地味に刺さります。この記事では、なぜあの反応がこれほど引っかかるのか、妻側の姓は今も受け入れられていないのか、そして次に同じ空気に出くわしたときにどう返せば対等でいられるのかを、うまくかわしている人たちのやり方から書いていきます。

目次

妻側の姓を選ぶ夫婦は9割の外側、でも変わり者ではない

制度上はどちらの姓でも結婚できる建前なのに、実際には夫側の姓を選ぶ夫婦が圧倒的多数で、割合でいうと9割以上がそうなっています。妻側の姓を選ぶ夫婦は、都市部であっても、数のうえでは今もかなりの少数派です。

だから、あなたが受けたあの驚きは、あなたの選択が非常識だからではありません。単純に、その場にいた人たちがそのパターンを見慣れていなかった。人は、予想と違う情報が来たとき、いったん驚く。それだけのことなんです。

私のところに来た30代の男性は、結婚を報告するたびに、相手の顔に一瞬の間が空くのを見てきたと言っていました。三人目くらいで、自分のほうがおかしいのかと思い始めたそうです。でも彼が妻側の姓を選んだ理由は、妻の実家が代々続けている商売で、その名前が屋号と結びついていたから、というごく実務的なものでした。事情を知れば、誰も変だとは言いません。知られていないだけなんです。

引いた反応は差別ではなく、見慣れていない反射

あの引いた感じは、多くの場合、あなたを軽んじる悪意ではなくて、統計的な珍しさへの反射に近いものです。少数派であることと、間違っていることは、まったく別の話です。

そして、慣れは意外と早く来ます。同じ職場の中でも、最初はぎょっとしていた人が、半年後にはすっかり普通に名前を呼んでいる、という話は珍しくありません。ある相談者は、上司から一度だけ、珍しいねと言われたきり、その後は何も言われなくなったそうです。驚きは瞬間的なもので、日常はすぐそれを追い越していきます。

なんで妻側の姓なのという問いに、非対称が隠れている

その問いがなぜあれほど引っかかるか。問いの立て方そのものに、夫側の姓が当たり前という前提が埋め込まれているからです。

夫の姓にした夫婦が、なんで夫側の姓にしたの、と理由を問われることは、まずありません。ある相談者は、同じ職場で同時期に結婚した同僚のことを話してくれました。その同僚は夫の姓にしたけれど、なんでと聞かれた場面を一度も見たことがない。自分だけが、会う人ごとに理由を求められる。説明を求められる側に振り分けられること自体が、じわじわ効いてくるんです。

驚きの正体は、あなたではなく相手の側にあるかもしれない

ここからは私の見方です。あの気まずい空気は、あなたを裁いている顔とは限りません。

妻側の姓を選んだ夫婦は、たいてい理由を語れます。話し合って、迷って、決めているからです。一方、夫側の姓にした夫婦の多くは、なぜそうしたのかを聞かれても答えられない。なんとなくそういうものだと思って選んでいるからです。あなたの報告は、その人たちに、自分は考えずに決めたという事実を一瞬だけ突きつけます。あの居心地の悪そうな顔には、あなたへの評価だけでなく、自分の選択を振り返らされた戸惑いが混ざっている。数のうえで多い側が、よく考えている側とは限らないんです。

説明するほど、こちらが弁明する構図になる

これから同じ空気に出くわしたとき、理由を全部渡さなくていいです。むしろ、詳しく説明するほど、なぜかこちらが弁明しているような構図になります。

40代の男性から聞いた話が、これをよく表しています。彼は聞かれるたびに丁寧に説明していました。妻の家の事情、二人で話し合った経緯、決めるまでの迷い。ところが説明を重ねるうちに、相手の反応が変わってきた。へえ、から、大変だね、へ。そして、気の毒に、へ。丁寧に語れば語るほど、彼の結婚は、特殊な事情を抱えた気の毒な話として扱われるようになっていったんです。彼は途中で気づいて、説明をやめました。

説明の量が、相手の踏み込みの量を決める

ここに、わりと使える発見があります。こちらが長く話すほど、相手はもっと聞いていいのだと受け取る。逆に、こちらが短く軽く扱えば、相手も軽く扱う。

うまくかわしている30代の男性は、聞かれたらこう返すそうです。うちはそうしたんですよ、と。それだけ。相手も、あ、そうなんですね、で終わる。理由の重さを相手に渡さないから、深追いできない。中には、笑って、くじ引きで負けました、と返している人もいました。ユーモアで返すと、相手の珍しさへの緊張がすっと抜けます。

面白いのは、この二人が受けている扱いの差です。長く説明した男性は、いまだに社内で、あの人は事情があるらしい、という妙な立ち位置にいます。短く返している男性は、姓の話がもう話題にすらならない。同じ選択をして、同じように驚かれて、返し方だけが違った。その差が、その後の何年かを分けています。

なんでだと思う、と軽く聞き返してしまう手もあります。相手はたいてい答えられません。答えられないということは、その質問に、本人もそれほど根拠がなかったということです。あなたの家族の決定は、他人の会場で採決にかけるものではないんです。

悪意がなくても、受け取った側はちゃんと傷つく

あの反応に悪意がなかったとしても、それであなたが傷ついていい、という事実は変わりません。悪意がないことと、傷つかないことは、別のものです。

ここで、よくある失敗を一つ。相談で本当に多いのが、気にしすぎだと自分に言い聞かせて、そのまま飲み込んでしまうパターンです。ある男性は、その場では笑って流しました。でも半年後、ふとしたきっかけで思い出して、妻に、あのとき本当は嫌だったんだ、と打ち明けた。妻は驚いて、なんで言わなかったの、と聞いたそうです。彼は、言えば妻が傷つくと思って黙っていました。

選択への後悔と、反応への傷つきは別のもの

一人で飲み込むと、そのしこりは外に出ないぶん、パートナーとの間に小さな壁を作ります。姓のことで嫌な思いをしたと話すと、選択を後悔しているように聞こえるのが怖い。その気持ちはわかります。でも、選択への後悔と、他人の反応への傷つきは、まったく別のものです。そこは分けて、話していい。

名字を変えた側にしか見えない景色がある

ここが、私がいちばん伝えたいところです。妻側の姓にした男性たちが、後になって口をそろえて言うことがあります。名字を変えて初めて、妻が結婚で経験することの一部が分かった、と。

銀行、免許、保険、クレジットカード、社内システム。延々と続く名義変更。新しい名前で呼ばれたときの、一瞬の反応の遅れ。書類にサインするたびの、まだ慣れない手の動き。それを、世の中の9割の女性が、当たり前のように通ってきています。

ある相談者は、名義変更の書類の山を前にして、妻に、これみんなやってるんだよね、とこぼしたそうです。妻はそうだよ、と笑った。彼は、その笑いに含まれていたものを、それまで一度も考えたことがなかったと言っていました。

少数派になったことで、多数派の景色が見えた

あなたが休憩室で受けた居心地の悪さは、多くの女性が結婚のたびに味わってきたものと、地続きです。名前が変わる違和感も、説明を求められる立場も。少数派の側に立ったことで、あなたはその景色を、想像ではなく実感として知ることになった。これは失ったものではなくて、得たものだと私は思います。

夫婦関係の相談を受けていて、名前を変えた側の男性は、パートナーの話の聞き方が変わる、と感じることがよくあります。妻が職場で旧姓を使い続けたいと言ったとき、その理由を、頭ではなく体でわかる。手続きの面倒くささを、大変だねと言うのではなく、あれ本当にしんどいよね、と言える。この差は、思っているより大きいです。今回の引っかかりは、その理解と引き換えに手に入れたものでもあります。

揺らいだのは選択ではなく、反応への免疫

今回いちばんしんどかったのは、周りの数名の反応そのものより、それによって自分たちの選択が揺らいだような感覚だったのかもしれません。抵抗なく選んだはずのことが、他人の一瞬の表情で、あれ変だったのかな、と足元がぐらつく。

でも、揺らいだのはあなたたちの選択ではなくて、それを人に知られたときの反応への免疫のほうです。家の中で二人で決めたことは、外に出た瞬間、他人の反応にさらされる。その最初の一撃が、たまたま驚きと戸惑いだった。それだけです。

相談者の多くは、二回目、三回目と同じ場面を経験するうちに、平気になっていきます。ある人は、三回目からは相手の驚き方を観察する余裕まで出てきた、と言っていました。今がいちばん過敏に感じる時期なだけなんです。

ある夫婦は、結婚から二年たった今、周囲がもう誰も話題にしなくなったと言っていました。最初の数ヶ月だけ、会う人ごとに驚かれた。それを過ぎたら、名前は単なる名前に戻った。彼らが言うには、あの時期に説明も弁解もしなかったのがよかった。こちらが動じなければ、まわりも、そういうものかと受け入れていく。空気を作っているのは、実は当事者の側なんです。

親族に伝えるときも、説得の勝ち負けにしない

親や親族に伝える場面でも、似た反応に出くわします。ここでも原則は同じで、納得してもらおうと頑張るより、私たちはこう決めた、と結論を短く、落ち着いて繰り返す。反対されても、これは二人で決めたことだから、と静かに線を引いていい。説得の勝ち負けにしないことが、消耗を防ぎます。

あなたたちがこの姓を選んだ理由は、休憩室にいた人たちが何も知らないところにあって、その理由は今も何一つ変わっていません。彼らの引いた顔は、あなたの選択の正しさについて、何の情報も持っていないんです。

よくある質問

夫が妻側の姓にする夫婦はどのくらいいますか

かなりの少数派です。結婚した夫婦のうち9割以上が夫側の姓を選んでいて、妻側の姓を選ぶ夫婦は残りのわずかな割合にとどまります。ただ、少数であることは、その選択が珍しいという意味であって、間違っているという意味ではありません。

婿養子ではないのに妻の姓にするのは変ですか

変ではありません。結婚のときにどちらの姓を名乗るかは、養子縁組とは別の話で、婿養子でなくても妻側の姓を選べます。数として珍しいだけで、制度としてまったく普通の選択です。

なんで妻側の姓なのと聞かれたら何と答えればいいですか

うちはそうしたんです、で十分です。理由を細かく説明するほど、相手はもっと聞いていいのだと受け取り、こちらが弁明する構図になります。短く軽く返すほうが、相手も軽く受け取って、話が普通に流れていきます。

職場で引かれたのを気にする自分は、気にしすぎでしょうか

気にしすぎではありません。悪意がなくても、受け取った側は傷つきます。ただ、その傷を一人で飲み込むと後から長く引きずり、パートナーとの間にも壁ができます。選択への後悔と、反応への傷つきは別なので、分けて話してみてください。

妻側の姓にしたことを後悔しそうです、どう考えたらいいですか

他人の反応で揺らいでいるだけで、選んだ理由そのものが変わったわけではないか、確かめてみてください。名義変更の手間の煩雑さと、選択の正しさも別の話です。一瞬の表情に、あなたの決断を採点する資格はありません。

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