中性的な女性を、可愛いと思う。目で追ってしまう。ときめく。それ自体は、あなたの中でもう起きていることだ。問題は、その気持ちに、気持ち悪い、という言葉をあなた自身が貼ってしまっていることのほうにある。なぜ男性に惹かれないのか。なぜ女性なのか。あなたは原因を突き止めようとしている。
原因を突き止める必要がない
異性愛には、誰も原因を聞かない
男性が女性を好きになるとき、なぜ女性を好きなのか、と問われることはない。それは、当たり前のこととして扱われるからだ。
でも、女性が女性を好きになると、途端に、なぜ、が始まる。あなた自身も、なぜ、と問うている。
考えてみてほしい。あなたが小学生のときに男性を好きになったこと、あれに原因はあっただろうか。なかったはずだ。ただ、好きだった。それだけだ。
中性的な女性に惹かれることにも、同じように、原因はいらない。ただ、惹かれる。それでいい。
原因を探すと、自分が問題であるように感じてしまう
なぜ、と問い続けると、その裏に、直すべき理由がどこかにあるはずだ、という前提が生まれる。
でも、あなたの惹かれ方は、直すべきものではない。直すべきものではないから、原因を探しても、答えは見つからない。答えが見つからないと、あなたはさらに、自分がおかしいのだと感じる。
この、原因探しのループが、あなたを気持ち悪いという言葉に近づけている。
惹かれる、という事実だけが、すでにある
あなたは、中性的な女性にときめく。見た目だけでときめく。告白するほど本気になったこともある。
これは、分析の対象ではなく、あなたに実際に起きていることだ。起きていることに、理由をつける必要はない。
異性とうまく話せないから、という仮説を見る
あなたは、一つの仮説を立てた。異性とうまく話せないから、話せる同性に男性性を求めているのではないか、と。
この仮説を、丁寧に見ていく。
あなたが惹かれているのは、男性性ではない
まず、あなた自身の言葉を見てほしい。中性的な女性を、かっこいい、ではなく、可愛い、と思う、と書いた。
もし、あなたが同性に男性性を求めているなら、あなたは彼女たちを、かっこいい、と感じるはずだ。男らしさに惹かれているのだから。
でも、あなたは、可愛い、と感じている。これは、男性の代わりを探しているのではない、ということだ。あなたは、中性的な女性の、その中性的なあり方そのものを、可愛いと感じている。男性性ではなく、その人自身に惹かれている。
話せるから好きになる、のではない
異性と話せないから、話せる同性を好きになる。この仮説には、好きになることが、話しやすさの代わりに起きている、という前提がある。
でも、あなたは、見た目だけでときめく、と書いた。話す前に、目で追っている。話しやすさとは関係のないところで、惹かれている。
話せるから好きなのではなく、見た目に惹かれている。
頭の中では、女性として好きになっている
頭の中では女性として好きになっているつもり。
このつもり、を、もっと信じていい。あなたは、相手を男性の代替として見ているのではない。女性として、その人を好きになっている。あなたは、自分でそれをわかっている。
わかっているのに、気持ち悪いという言葉が、そのわかっていることを、疑わせている。
バイセクシャルなのか
名前は、あとから、自分で選ぶもの
セクシュアリティを表す言葉は、たくさんある。バイセクシャル、レズビアン、パンセクシャル、クエスチョニング。他にもある。
でも、これらの言葉は、あなたを分類するために、誰かが上から貼るものではない。あなたが、自分の状態を説明するのにしっくりくる言葉を、自分で選ぶものだ。
そして、その言葉は、変わってもいい。今わからなくても、いい。今は、わからない、という状態のままでいい。
変わったタイプ、という言葉に、少し立ち止まる
自分の惹かれ方を、変わっている、と感じている。でも、中性的な人に惹かれる人は、あなただけではない。特定の雰囲気や、あり方に惹かれることは、まったく珍しくない。
あなたは、自分が例外的で、変で、説明のつかない存在だと感じている。でも、あなたのような惹かれ方をする人は、たくさんいる。あなたは、一人ではない。
男性を好きになる可能性を、閉じなくていい
今は、中性的な女性に惹かれている。将来、男性を好きになるかもしれない。ならないかもしれない。どちらでもいい。今、自分を固定しなくていい。
気持ち悪い、という言葉が、どこから来たのか
あなたは、中性的な女性にときめく。本気で好きになる。それ自体を、あなたは苦しんでいない。あなたが苦しんでいるのは、その気持ちを、気持ち悪い、と感じてしまうことのほうだ。
その言葉は、あなたの内側から出たものではない
好きだ、ときめく、という気持ちは、あなたの内側から自然に出てきたものだ。
でも、気持ち悪い、という言葉は、どこから来ただろうか。それは、あなたの内側から出たものではないかもしれない。
女性が女性を好きになるのは普通ではない、という空気。それを、あなたはどこかで吸い込んできた。学校で、テレビで、周りの言葉で。その空気が、あなたの自然な気持ちに、気持ち悪い、という言葉を貼りつけた。
好きになる気持ちと、それを責める気持ちは、別のもの
あなたの中に、二つのものがある。中性的な女性を好きになる気持ち。そして、その気持ちを気持ち悪いと責める気持ち。
前者は、あなた自身だ。後者は、あなたが外から取り込んだ、あなたを縛るものだ。
苦しみは、前者からではなく、後者から来ている。だから、手放すべきなのは、好きになる気持ちのほうではない。それを責める気持ちのほうだ。
あなたの好きは、本物だと、あなたが知っている
軽い気持ちで好きになっているわけではない。告白して振られるくらい本気だった。あなたは、そう書いた。
あなたは、自分の好きが本物だと、もう知っている。冗談でも、勘違いでも、代わりでもない。本気で、人を好きになった。
その本物の気持ちに、気持ち悪い、という言葉は、似合わない。
これから、どう自分と付き合っていくか
答えを急がなくていい。今できることだけ、書く。
名前をつけるのを、焦らない
自分が何者なのか、今すぐ決めなくていい。バイなのか、レズビアンなのか、それ以外なのか。わからないまま、生きていける。
多くの人が、時間をかけて、自分の言葉を見つけていく。あなたも、そのうちの一人だ。今は、中性的な女性に惹かれる自分、というところだけ、持っていればいい。
同じ気持ちの人が、いる場所を知っておく
あなたは今、周りに同じ話をできる相手がいなくて、一人で抱えているかもしれない。
大学には、セクシュアリティについて安心して話せるサークルや、相談できる窓口があることが多い。よりそいホットラインには、セクシュアリティについての相談を受ける専門の窓口もある。同じような惹かれ方をする人たちの言葉に触れると、自分だけが変なのだ、という感覚が、少しずつほどけていく。
好きになることを、自分に許す
中性的な女性を好きになったとき、その気持ちを、そのまま感じていい。可愛いと思ったら、可愛いと思っていい。ときめいたら、ときめいていい。
そのたびに、気持ち悪い、と自分を止めなくていい。あなたの好きは、止めるべきものではない。
FAQ
なぜ男性に惹かれず、中性的な女性にばかり惹かれるのですか
原因を突き止める必要がない。男性が女性を好きになることに理由が問われないように、あなたの惹かれ方にも理由はいらない。惹かれる、という事実が、すでにある。それで十分だ。
異性と話せないから、同性に惹かれているのでしょうか
その仮説は、当てはまりにくい。あなたは相手を、かっこいい、ではなく、可愛い、と感じている。男性性を求めているなら、かっこいいと感じるはずだ。そして、見た目だけでときめく、と書いている。話しやすさとは関係のないところで惹かれている。
変わったタイプのバイセクシャルなのでしょうか
今すぐ名前をつけなくていい。セクシュアリティを表す言葉は、誰かが上から貼るものではなく、あなたが自分でしっくりくるものを選ぶものだ。わからないまま、でいい。その言葉は、変わってもいい。
自分の惹かれ方が気持ち悪いです
気持ち悪い、という言葉は、あなたの内側から出たものではないかもしれない。好きだ、ときめく、はあなた自身の気持ちだ。気持ち悪い、は、外から取り込んだ、あなたを縛るものだ。手放すべきなのは、好きになる気持ちではなく、それを責める気持ちのほうだ。
この気持ちは、本物なのでしょうか
あなたは、告白して振られるくらい本気だった、と書いた。あなたはもう、自分の好きが本物だと知っている。冗談でも、代わりでもない。本気で人を好きになった。その本物の気持ちに、気持ち悪い、という言葉は似合わない。

